
もともと神奈川県出身で、日本画家の平川敏夫さんに憧れて、教鞭を執っている京都芸術短期大学に来たんです。彼は墨を使って竹林とかを描いていました。リアリティーとは違う緻密さに感動しましたね。
喜多川歌麿さんの作品が大好きで、制圧された平面の中で自分を表現するということの面白さを感じました。
「こんなやつがいるんだよ」っていうものすごく屈折した自己顕示欲っていうか(笑)、たぶんそういうのがすごく強かったので、何か自分しかできない表現方法は何だろうって考えたら、日本画として新しい和を表現していくことだったんですね。
妖怪っていろいろと調べてみると非常に面白いですよね。思えばどうしてこんなものができたのかかなり不思議です。
私は今も昔も変わらず、人の中には妖怪がいると思うんです。自分の中にある憎しみや悲しみの化身が妖怪として表現されてきたのではないかと思います。
だとしたら数ある妖怪の中でも、見たこともないような気持ち悪い妖怪とか、初めて見るのにどこか懐かしくてかわいらしい妖怪とか出てくると思うんです。
そのモチーフの中から自分に合った妖怪というのをチョイスすることで、自分のオリジナリティーとして自己表現していくひとつの手段になると思いますね。
墨は、やわらかさと同時に力強さを兼ね備えています。濃淡をつけることや、油分を持つ茶系の墨と持たない青系の墨を使い分けることで、一色の中にいくつもの色を表現することができるんです。
また、プリントされているTシャツですと、引っ張ると柄が割れてしまいますが、墨は素材に染み込んでいますので、いくら引っ張っても模様が割れることはありません。またブリーチをかけても落ちないというところも、合成染料には真似のできない丈夫なところでもありますね。繊細さと強さを兼ね備えているんです。
私は神奈川県出身ですが、京都の伝統技能は受け継がれていくことが必要だと思います。それはやはり、京都に住んでいる内側の人が積極的に新しい提案をして、幅広く認知してもらい、飽きさせないことが必要になると思います。
私は普段は着物絵師の仕事をしていますが、ご存じのとおり着物は一生のうちに何枚も買える代物ではありません。
ですが、Tシャツだったら買えます。そのTシャツを買っていただいたお客様が街を歩くことによって、私なりの表現を多くの人に見ていただけるんです。
もちろんTシャツはひとつの手段でしかありません。さまざまな形で私の表現を世の中に提供させてもらうことができると思うんです。
そこで自分の「屈折した自己顕示欲」に賛同してくれたお客様が、自らの表現手段として私の絵を選んでくれたなら本当に嬉しいですね。

