2026/03

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5年前からアメリカにアプローチをかけていて、展示会などを通じて畳の普及活動をしてきました。現地の日本料理店や日本庭園を持っていらっしゃる裕福な方のご自宅などに納めさせていただいています。

私は四代目でして、実は今の仕事をする前は旅行代理店に勤めていたんです。そこで働いていて分かったことがあります。アメリカには多くの日本料理店がありますが、どの畳も汚れていたり、い草がほつれていたりしました。どうしてそのままにしているのだろうと思ったのですが、よくよく考えてみると誰も替える人がいなかったんですね(笑)。

そこで旅行代理店を辞めたあと、父の会社に入社した際にそのことがビジネスチャンスとして頭の片隅にありました。同時に日本独自の文化にプライドを持って、世界に畳の良さを知ってもらいたいという思いが重なり、ニューヨークからアプローチを開始しました。

私は、「畳ってどういうところがいいですか」って聞かれたら、必ず寝てもらったら分かりますって答えるんですよ。畳は一本一本がい草で編み込まれているので、肌に触れているところと触れていないところがあるので涼しいんですね。独特の気持ちよさがあります。

また、もう一つの魅力はい草の香りです。うちは京都・大徳寺の近くにありますから、修学旅行の小学生が通ったりしますが、そのときに「畳ってええにおいするなぁ」と言って通り過ぎていくのをよく見かけます。このい草特有の、心が凛とするような香りというのは、我々の遺伝子の中に良いものと感じるように組み込まれているのかも知れないですね。

畳って50cmぐらいの稲藁を5cmぐらいに圧縮して土台を作るんですが、その藁は湿気を吸ってくれます。梅雨時にはたくさんの湿気を吸ってくれ、家の中をスーッとした感じにしてくれるんです。そして夏になり乾燥しだすと、今度は溜めていた湿気を発散して湿度を調整してくれます。藁やい草は生きていますので、二酸化炭素を吸って、酸素を吐き出してくれます。空気の浄化作用にもなるんですね。

これまでで一番衝撃的だったのが、ビルの51階に茶室を作るっていうので、あるイギリス人デザイナーの方から注文が入ったんですが、東京まで下見に行きますと、見たこともないような大きなビルが建っていたんですよ。結局そこに納品させてもらったのですが、しばらく経つとそのビルがテレビですごく話題になっていました。そう、あの六本木ヒルズだったんですよ。あれほどまでに話題のスポットに納品できたというのは嬉しかったですね。

ほかには『笑っていいとも!』に最高級畳として納品させていただきましたね。それは一畳18万円もするんですが。また、NHKや関西テレビ『ちちんぷいぷい』にも出させてもらいまして、ざこば師匠に実際に畳の上を歩いていただいたりもしました。

これから販売に力を入れていきたいのがカラー畳ですね。非常に新しいこれからの時代のコンセプトに合った商品だと思います。色も自分で選べるとなるとより個性を発揮できますし、古風な感じが好きでない方も気軽に楽しんでいただけます。和風モダンのレストランにも一部納品しており、自信を持って勧められる畳です。

海外向けには、これまではアメリカに住んでいる日系人が対象の狭い商圏でしたが、これからはアメリカ人が日頃の生活で取り入れたくなる実用的なアイテムとして提案していきたいと思っています。

国内向けには畳の良さを原点に返って訴えていきたいと思っています。その中でこんな提案もあるんですよという形で、カラー畳やインテリアとして積極的にアプローチしていきたいですね。

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もともと神奈川県出身で、日本画家の平川敏夫さんに憧れて、教鞭を執っている京都芸術短期大学に来たんです。彼は墨を使って竹林とかを描いていました。リアリティーとは違う緻密さに感動しましたね。

喜多川歌麿さんの作品が大好きで、制圧された平面の中で自分を表現するということの面白さを感じました。

「こんなやつがいるんだよ」っていうものすごく屈折した自己顕示欲っていうか(笑)、たぶんそういうのがすごく強かったので、何か自分しかできない表現方法は何だろうって考えたら、日本画として新しい和を表現していくことだったんですね。

妖怪っていろいろと調べてみると非常に面白いですよね。思えばどうしてこんなものができたのかかなり不思議です。

私は今も昔も変わらず、人の中には妖怪がいると思うんです。自分の中にある憎しみや悲しみの化身が妖怪として表現されてきたのではないかと思います。

だとしたら数ある妖怪の中でも、見たこともないような気持ち悪い妖怪とか、初めて見るのにどこか懐かしくてかわいらしい妖怪とか出てくると思うんです。

そのモチーフの中から自分に合った妖怪というのをチョイスすることで、自分のオリジナリティーとして自己表現していくひとつの手段になると思いますね。

墨は、やわらかさと同時に力強さを兼ね備えています。濃淡をつけることや、油分を持つ茶系の墨と持たない青系の墨を使い分けることで、一色の中にいくつもの色を表現することができるんです。

また、プリントされているTシャツですと、引っ張ると柄が割れてしまいますが、墨は素材に染み込んでいますので、いくら引っ張っても模様が割れることはありません。またブリーチをかけても落ちないというところも、合成染料には真似のできない丈夫なところでもありますね。繊細さと強さを兼ね備えているんです。

私は神奈川県出身ですが、京都の伝統技能は受け継がれていくことが必要だと思います。それはやはり、京都に住んでいる内側の人が積極的に新しい提案をして、幅広く認知してもらい、飽きさせないことが必要になると思います。

私は普段は着物絵師の仕事をしていますが、ご存じのとおり着物は一生のうちに何枚も買える代物ではありません。

ですが、Tシャツだったら買えます。そのTシャツを買っていただいたお客様が街を歩くことによって、私なりの表現を多くの人に見ていただけるんです。

もちろんTシャツはひとつの手段でしかありません。さまざまな形で私の表現を世の中に提供させてもらうことができると思うんです。

そこで自分の「屈折した自己顕示欲」に賛同してくれたお客様が、自らの表現手段として私の絵を選んでくれたなら本当に嬉しいですね。